リモートワークは企業のDXを普及させるか

環境の劇的な変化に伴い、国をあげてリモートワークを推奨する動きが加速しています。リモートワークの環境を整えている会社と、そうでない会社とでは、今後の業績にも大きな違いが生じてくるでしょう。総務省の調査では、国内企業のリモートワーク導入率は、約13.8%(2017年)とまだまだこれからと言った状態です。

私がかつて支援した、日本に参入する外資系のベンチャー企業のいくつかは、オフィスコストを最小限に抑えるため在宅で仕事を行う体制を取っていました。こうした企業の多くは、最低限のリモートワークの環境だけで業務を行っています。

デジタル化3つのステップ

会議の環境

定例会議でメインに使っていたものは、SkypeやZOOMなどのWEB会議システムです。音声とPCの画面を共有しながら安価(無料でも使用可)でオンラインの会議が実施できます。このとき、後述するGoogle Googleドキュメントで共同編集し誰が何をいつまでにやるかを決めながら会議を進めていきます。最近は、MicrosoftのTeamsを使う企業も増えていますが、この辺りは好みが分かれるところです。

チャットシステム

LINEに代表されるコミュニケーションツールとして使用するもので、企業内で使用するものにはSlackやChatworkなどがあります。TeamsやSkypeでもテキストチャットは使えますね。

GSuite

オンラインでドキュメントを共有できるGSuite(Googleドキュメント)は、リモートワークでは必須のツールでしょう。Googleのアカウントを持っていれば、無料ですぐに使用を開始することが出来ますが、法人向けの有料プランのほうが良いでしょう。

会社に行かないことの罪悪感

コワーキングオフィス

リモートワークは、もともと在宅で働くことを指していましたが、近年はコワーキングオフィスの登場で自宅以外に集中して働くスペースが持つ人が増えています。リモートワークのノウハウ自体は確立しているわけではありませんが、働く環境が揃っているコワーキングオフィスを使えば、高速なインターネット環境、プリンター、ドリンクバーなど、リモートワークの環境が整っておりカフェで仕事をするよりも、はるかに効率良く仕事ができます。

リモートワークを始めるにあたり一番の課題になるのは、自宅では仕事をするペースが掴めないことです。こうした課題も周囲で仕事をする利用者がいるコワーキングオフィスを使うことで解消されます。

反面、周囲で会議をする人が増え、会議中に騒がしいという笑えない状況も起きています。利用者のマナーが問われるところです。

マイクロマネジメントはムダなコスト

リモートワーク化の弊害として目の届かない場所で働く従業員に対して、業務のマネジメントをどのようにするのかが課題になります。パソコンをどのくらいに時間使っているかとか、いつ席を外したかといったログを取ることが出来ますが、日本人の多くは、仕事を真面目にやらなくてはいけない罪悪感があって、マイクロマネジメントは意味がありません。

情報漏えい問題

こういう話題で必ずあがるのは情報漏えい問題です。「企業の機密情報が外部に漏れたらどうするのか」という問いです。これは、悪魔の証明と同じで「情報漏えいのリスクが存在しないこと」の証明は、そもそも不可能なのです。不特定多数が入るカフェに比べれば特定された利用者が使うコワーキングオフィスのほうが実は安全なのです。

私が使用しているコワーキングオフィスは、和気あいあいとしたした雰囲気が売りです。

会社の存在価値とは

今後、オフィスを縮小して完全にリモートワークに切り替える企業が増えるでしょう。お客様との打合せを行う場合は、リモート会議を行うか、近隣の会議スペースを借りれば事足りるでしょう。会議室自体もシェアすることで自社で所有する必要がないのです。

都内でも月額一万円程度から利用できるコワーキングオフィスがたくさんあります。こうしたオフィスを使うことで通勤に費やしていた時間を減らすことで肉体的にも精神的にも楽になります。他にも同僚との無駄なお喋り、定時以降の帰りにくい雰囲気、帰り際に誘われる無駄な飲み会などが無くなるので、労働者からすればたくさんのメリットがあります。月額一万以上の交通費を負担しているのであれば、自宅近くのコワーキングオフィスを会社が負担しても十分ペイできるのではないでしょうか。

企業の舵取りには先行きが見えにくい状況ですが、リモートワークを会社として始めるチャンスになるのではないでしょうか。

2020年は、オリンピックの開催もあり期間中は交通機関の利用は普段以上に混雑が予想されリモートワークが推奨されています。業種業態にもよりますが、働き方を忖度することが無くなることで、これまで低かった日本人の労働生産性の向上につながるのではないでしょうか。