デジタル変革が急務の課題に

2020年8月17日に内閣府が発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質の伸び率が年率換算でマイナス27.8%でした。

このマイナス27.8%という数字は、リーマンショック後の2009年1~3月期でも年率マイナス17.8%でしたのでこれまでに経験したことがない史上最悪な不況期に突入したと言えるでしょう。

この不況、これまでと様相が違うのは、すべての企業が減益、赤字になっているわけではありません。例えば、ニトリは巣ごもり需要で、営業利益が2020年3~5月期決算で22.3%増の372億円と絶好調です。同様に食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなど最高益の会社もたくさんあります。さらにGAFAと言われる巨大IT企業も軒並み好調で、設備投資需要も拡大しています。

ひとつの産業の売上が消失するという衝撃

一方、飲食、航空、鉄道、ホテル、カラオケ、旅行など、いわゆる三密と外出を伴う産業(三密産業)が壊滅的な打撃を受けています。

旅行会社の月間売上ランキングの推移が動画で公開されていました。緊急事態宣言が出た4月、5月の売上が吹っ飛んでいるのがわかります。ひとつの業種の売上が丸々吹き飛ぶということは経験したことがありません。

こうした三密産業のの売上げ減は、周辺に及びますので飲食であれば卸売、生産者に及びますし、ホテルであれば清掃、リネン、周辺の観光と広がっていきます。

DXという言葉に踊らされないために

この状況になる以前から迫られていた企業のデジタル変革(DX)が、いよいよ対応を余儀なくされます。しかし、DXというキーワードに踊らされて本質を見失ったIT投資を行えば、GAFAを担いでいる企業に狙い撃ちされます。

DXは、従業員をデジタルで管理することでも監視することでもありません。顧客の目線にたって購買までの経験(ユーザーエクスペリエンス)を高めながら、業務効率をあげるという企業の本質にたった活動をするしかないという結論になります。

DX導入は、プロセスごとの最適化も必要ですが全体最適が重要で、プロセスに部署ごとの分断があると機能しません。自分本位な理由でセクショナリズムがあることも浮き彫りにされるので社内の問題が噴出することもあります。

最終的には、顧客も従業員も経営側も三方良しという昔ながらの方法論になってしまうわけです。基本がなっていない人たちがいるところが退場していくのが環境の劇的な変化で明白になり、DXの導入の進捗にかかわらす進行していく未来になるでしょう。