アイスブレイクとは、商談でお客様が気楽に話せるような雰囲気を作るための会話のことです。かたく考えず、あたりさわりのない話をするのがコツと言われています。
よく言われるのが、無難な雑談を引き出すキーワードの頭文字「木戸に立てかけし(きどにたてかけし)衣食住」で会話を始めることです。
ただし、こうした雑談は、ベテランの営業マンでもこういった雑談は苦手という人が多く、話術に長けていない新人の営業マンにはオススメしません。
私もいくつか失敗したことがあるので、失敗例からご説明いたしましょう。
アイスブレイクの失敗例
失敗例1.テレビの話題
「サッカーの日本代表、負けちゃいましたね」
「そうみたいですね。僕は、サッカー見ないんで……」
「スポーツはご覧にならないんですか」
「アメリカンフットボールは見ています。スーパーボウルの時期になると仕事も手につかないくらいですよ。スーパーボウル、わかりますか?」
「……」
失敗例2.住まいの話題
「きれいな絵が飾ってあって、すてきなオフィスですね」
「社長が趣味で集めているんですが、僕詳しくないんで何の絵だかわかりません」
「……」
どのような話題でも、相手が関心を持っていないと話が続きませんし、いらないことを聞いたために自分が話についていけないことさえあります。ベテランの営業マンほど、話が続かない危険性を知っているのでアイスブレイクをしていません。
では、まったくしないのかというとそうではありません。相手が関心があっても、無くてもいいような話題から始めれば良いのです。
それでは、新人営業マンが、最初の商談で相手に第一印象から好感を持ってもらうための雑談のコツをお伝えしましょう。
相手に気づかれる前に話題にする
き=季節や気候
花粉症を話題にする場合
例)私は、花粉症でして鼻声で話が聞きにくいかもしれません。判りにくいところがあったら、その都度確認いただいてもよろしいですか?
ど=道楽(趣味)
週末のキャンプを話題にする場合
例)週末にキャンプに行きまして、日焼けで肌がボロボロで大変お見苦しくて申し訳ございません。
に=ニュース
電車の事故を話題にする場合
例)今日は、朝から事故で電車が止まっていまして駅からこちらまで急いできたんですが、ギリギリになってすいません。
どの話題も、「気にしないで。いいよ、いいよ」と応えるしかない他愛もない内容で、会話の矢印が自分に向いているのがわかりますでしょうか。主体が自分の話題なので広げることも途中で切り上げることも簡単です。
言い換えると相手に関心のない話題でも話が続きやすく、かつ、小さな許可「イエス」をもらえる話をしているのです。
アイスブレイクはイエスを誘導しろ
商談では、この小さな「イエス」を積み重ねていくことが大事で、お客様が「ノー」と言わない会話をしています。
例えば、
「ありがとうございます。こちらの椅子でよろしいですか」
「今日は、暑いですね。上着を失礼させていただいてよろしいですか」
「会社案内から、ご説明させていただいてよろしいですか」
こうした話法は、相手がイエスの返事をしてしまう質問を繰り返すことで、同意させてしまう心理誘導法でイエス誘導法と言います。
本題の商談で意図的に使おうとすると相手は「誘導しているな・・・」と気がつくので使わないほうが良いでしょう。
アイスブレイクは、他愛もないもので自分が広げられるもの、相手に「イエス」と言ってもらえるもの、自分の印象をあげるものを話題にすると良いでしょう。