ここ数年は、新規事業の立ち上げのご相談が多くなりました。
これまでの営業の経験から、新製品の市場投入から最初の顧客を見つけるといったプロセスを知っていますのでご相談が多いのかもしれません。
最近も旧知の経営者の方から新規事業のご相談がありました。
こちらの会社は、ERPコンサルタントが多いのが特徴です。
私のブログを読まれる方は、経営者以外の方、ITに詳しくない方もいますので念のために説明しておきますとERPコンサルタントとは、販売管理、生産管理、会計、人事、給与などの企業活動に不可欠な業務のシステム化を支援するお仕事です。
いわゆる外からは見えない企業内のシステムを構築するお仕事ですね。
そういう事業をしている会社でしたので、相談したいことがあると言われた際に躊躇しました。
基幹系業務システムの開発は、フルスクラッチの開発から、パッケージ、クラウドに移り変わっていて、ずいぶん前から飽和状態なんです。
基幹系業務システムの開発に強い会社の新規事業ってなんだろう。
最近のIT業界のトレンドキーワードであるビッグデータやIoTなどとERPを掛け合わせて、あれやこれやと考えながらお伺いしました。
「実は、企業向けのホームページ制作を始めようと思っている」
開口一番、旧知の経営者の方から出たのが、ホームページの制作をやりたいとという話でした。
しかも、どこに売りに行ったら良いかという相談です。
いやいや、ちょっと待って。違うでしょ。
新規商品を売る場合は、まず既存顧客に最初に売るのが鉄則です。
理由は、お客様との人間関係ができているからとりあえず話は聞いてくれるから。
新規商品を新規顧客に売るのは、そのあとです。既存の顧客に商品を売る場合に比べて、何倍もコストと労力がかかるんですよ。
お話を聞いてみると自社でコーディングするのではなく、ホームページ制作の代理店をするのだと言います。
これでは、何のノウハウも自社に残りませんし、メインの事業に相乗効果がありません。
新規事業や新製品の投入する場合、まったくメインと別の事業に参入するのは資本力のある大企業だけができることです。

例えて言うなら、本業は、シャンパンタワーの一番上のグラスです。
このグラスがあふれたら、その下のグラスに注がれますよね。
その下のグラスがあふれたら、さらにその下のグラスにと順々に下へ下へと注がれていきます。
メインの事業で受けきれないお客様の要望に応えるのが、もっとも失敗しない新規事業の立ち上げ方なんです。
今回のホームページ制作は、このタワーの外にグラスを置いているようなものなんです。
それでは、シャンパンタワーが高くなりません。つまり、本業への相乗効果は、ほとんど期待できないのではないでしょうか。
世界のホンダもオートバイで養った技術で車を作っていますよね。
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