売れない理由を問うてはいけない

先日の土曜日に懇意にしている社長と打合せをしておりました。仮にH社長と呼ぶことにします。私のような仕事している者は、土曜でも日曜でも相談があると言われれば、打合せに出かけます。

その日も新規事業について、どのように展開していくかなどについて色々とお話をしておりました。H社長とは、一年以上の付き合いがあるのですがアイデアマンで色々なニッチな商材を見つけてきて、その都度、売り方の相談がきます。単純に営業を雇って売らせれば思うのですが、なかなかうまく行かないようです。

「何人もの営業を雇ったけど、自分で売ったほうが売れる。何で売れないんだろうね」

その質問に対して一瞬答えに窮してしまいました。コンサルタントとしては、原因も判らずに売れない理由を即答できないのですが、それ以上に色々な会社と関わった経験から「なぜ売れない」と質問してもまともな答えが出ないのを知っているからです。

H社長は、売れない理由をクロージングが出来ないからだと分析されていました。同行営業をされて現場が判っているから言えるのでしょう。

しかし、多くの場合、自転車が乗れない人に「なぜ出来ない」と聞いても判らないように、売れない営業に「なぜ売れない」と聞いても理由など判らないのです。

もちろん、多少の営業経験があれば「商品力がない」、「営業マンが少ない」などなど色々な要因をあげてくるでしょう。当然、経営者から見れば、「売り方が悪い」、「訪問件数が少ない」といった原因が営業マンにあることを追求することは可能です。しかし、これは言い訳や責任を他に転嫁し始めるだけで建設的ではありません。

「なぜ(Why)」で質問をした場合、脳が出来ない理由を考え始めてしまうからです。

では、どうしたら良いか。

「どうしたら(How)」で質問をしてみてください。

「どうしたら売れるか」と質問を変えるだけで、建設的な意見が出始めます。まずは、自社の置かれている状況を分析し、その結果として他社と比較して「商品力がない」、「営業マンが少ない」ことが判明したなら、次に「どうしたら商品力がない製品を売れるか」、「どうしたら少ない営業人員で効率よく売れるか」という質問をしていくのです。

先ほどの自転車が乗れない話ですが、実は自分の子供に質問をしたことがあります。

「どうしたら自転車に乗れるようになる?」

答えは簡単でした。

「もっともっと練習する」

質問の質を変えるだけで子供でも建設的な意見が出せるのです。ある程度経験のある営業マンであれば、きっと良い方法が出てくるはずです。