先日、ある経営者の方とオフィスビルで待ち合わせ会食をしました。
お互いに起業して数年、元営業マン、同年代ということもあり時々食事に誘われることがあります。
こうした形で経営者の方からお話を伺うことが多いのですが、決まって出てくるのが『営業マンが売ってこない』という話です。
これでまで法人向けから個人向けまで様々な商材やサービスを扱っている経営者の方とお会いしてまいりましたが、単に売れそうだからやっているというポリシーが無い経営者は極めて少なく、むしろ社会的な意義まで考えて事業を行っている方がほとんどです。
営業に限らず、末端の社員になればなるほど、会社や自社の商品に対する思い入れが少ないのが現実です。
現場の営業マンが、自社の製品やサービスに対して思い入れが少ないということは、自社の商品に自信が持っていないということ。つまり、会社から見ると現場に出ている営業マンが、お客様に自信を持って話をしていないことになります。こうした状況では、売れるはずがありません。
しかし、この問題は、この状態の営業マン心理を読み解くことで解決することが出来ます。自社の商品に自信が持てない理由は、お客様に対して「価値が提供できていないのではないか」という意識です。
営業マネジメントに必要な「価値の4段階」とは
アメリカの経営コンサルタントで「サービス・マネジメント」の著者でもあるカール・アルブレヒトは、「価値の4段階」を提唱しています。「価値の4段階」とは、以下の通りです。
・基本価値 ⇒ 当然提供されるべきこと。提供されなければクレーム、取引中止となる。
・期待価値 ⇒ 当然期待されること。提供されなければクレームにならなくても、不満を持たれリピートしない。
・願望価値 ⇒ もし出来れば高く評価されること。出来なくても不満にはならない。
・予想外価値 ⇒ 予想をはるかに超えること。相手に感動を与え、クチコミされる。
ここで重要なのは、この価値とは顧客が感じる価値、すなわち顧客の意識の中にあるということです。顧客価値が有るか無いかの基準は、顧客が決めるということであって現場の営業が決めることではないのです。
すでに販売実績がある商品であれば、基本的価値、期待価値は必ずあります。無ければ売れません。さらに願望価値、予想外価値に関しては、数ある商品の中で何故自社の製品やサービスを選んでくれたのかという選択基準になります。
既存客に何故自社の製品を購入したのかということを丹念に聞き出し社内で共有化することで、他社の製品ではなく自社の製品を選んだ理由、顧客価値の共有をすることが出来るのです。多くの企業の場合、これを顧客事例として営業ツールのひとつとして使っていますので充分に効果があります。
願望価値と予想外価値は、顧客満足の視点の中で見えてくるものです。従って、お客様から高く評価されたい、クチコミされたいと思うあまり、無理な値引きや短納期を提示することで一時的に得るものではありません。継続的に改善を行い、結果として提供される価値だからです。
提言:顧客価値に耳を傾ける
お客様の価値を知ることで、自社に何を期待されているかを知ることが出来ます。会社としてお客様の声に耳を傾け、お客様にとって何が価値なのかを営業全体で知ることにより自信を持って外に出せる営業体制を構築していくことが出来るのです。