転職1年目、営業のテクニックがなんとなく身についてきた矢先に勤めていた会社が競合他社に買収されたのです。
当時勤めていた会社は業界3位で、買収側の会社は業界2位です。買収の結果、業界トップになりました。今でこそ企業買収や合併などは珍しくありませんが、1992年当時は、まだバブルの余韻が残る時期で日本の企業もM&Aが始まる前でしたので会社が買われるとどういうことになるか検討もつきませんでした。
当時のそれぞれの日本法人は、買収した側が代理店もあったことで人数が人数が少なく、買収された側が新しい日本法人では多数になると思われていました。しかし、買収した側の代理店も一緒に3社を統合することになったのです。
しかも代理店の営業マンは、年齢が比較的に高く結果的に新しい営業体制では全ての営業部の部長は、代理店からきた人たちが担うことになったのです。かつて競合として市場で競争していた相手の下で働くことは、筆舌に尽くしがたいものです。
1年間かけて構築してきたお客様との関係も営業組織の再編の中で他の営業に引継ぎ、上司や先輩たちは次々と同業他社へ転職していく中で取り残されるような気持ちで仕事を続けていたことを思い出します。
カスタマエンジニアというコンピュータのハードウェアの設置、保守点検や修理などを行う仕事から半導体設計のCADの営業に転じて四苦八苦しながら営業を学んでようやっと営業としての自信が持てた頃です。
結果的には、この買収は自分にとってはプラスになりました。それまで、職場にいた天才的な営業に代わり、商社で論理だてた営業を身に着けた上司や同僚からロジカルな営業手法を改めて学べる機会が得られたのですから。
こうして、新たな上司と同僚に囲まれて再び営業に取り組む日々を送っていたところで、事件が起きます。(続きます)