「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるための インサイト実践トレーニング

営業で大事なことは、お客様のホンネを探り購買行動を起こさせるスイッチをオンにすることです。

わかりやすく「ホンネを探れ」と言っていますが、実際には新しい常識に気づかせて購買行動を起こしてもらうことこそが、これからの営業に必要なことです。この営業方法をインサイト営業(知見型営業)と言います。10年ほど前からマーケティングの方法として始まったインサイトですが、海外の営業の現場でも使われるようになってきています。

なぜ、営業でインサイト(知見)が必要なのかというと、お客様の問題解決をして商品やサービスを売るソリューション営業のやり方では、商品やサービスが売れなくなってきているのです。しかし、いまだに「お客様の課題を探れ」という問題解決型(ソリューション)営業に固執している人が多いのは、非常に残念です。

インサイトを見つけ出し、販売に成功した事例に松下電器産業(現パナソニック)の「新・子育て家電」があります。

「食器洗い乾燥機」は、二〇〇五年当時、普及率二〇%程度から伸び悩んでいました。欲しい家電の優先順位で、薄型テレビなどと比べて低い順位にありました。一般に、成長している製品カテゴリーでは、消費者がすでにそれを「欲しい」と思っているので、新しい機能や競合製品との違いを打ち出すだけでよいのですが、伸び悩んでいる製品カテゴリーの場合は、そもそも「欲しい」という気持ちにさせるところから始めなければなりません。つまり、動機付けが必要なのです。言い換えれば、インサイトを見つけ出し、いかに消費者の心のホットボタンを押すかが課題となります。

そこで、この子育て期の母親のインサイトを探り見つけたのが「育児を楽しみたいけど、家事に追われてイライラしてしまう」というもの。これを受けて、開発したプロポジション(戦略的な提案)が、「新・子育て家電——子供との時間を少しでも長く楽しく。子育てを応援します」というものでした。

「インサイト実践トレーニング」桶谷 功順・著より引用

私は、食洗機を購入したことがないので販売当時のことは判りませんが、これまでの販売方法だと製品の機能にしか訴求できていなかったのでしょう。

・手洗いに比べてキレイに洗え、洗い残しがありません
・従来製品に比べて◯%の節水効果があります
・従来製品に比べて◯倍の速さで洗浄できます
・価格が、お求めやすくなりました

こうした製品の機能を中心にしたセールストークでは、子育て中の母親の持っている課題など何も解決出来ません。「新・子育て架電」というコンセプトは、子育て中の母親の隠れたホンネに見事に的中し、購買行動を起すインサイトだったのです。

営業として大事なことは、このインサイトを見つけることなのです。